
2015年以降、「ゴールデンステート・ウォリアーズ」がNBAを席巻してから3Pシュートの重要性が評価され、3Pシュートを主体とするチームが増加しています。
実際に試合では3Pシュートは得点が3点加算されるという事もありますが、個人としてもチームとしても勢いに乗るきっかけにもなったりします。
また観ている側としても、試合終盤の大事な場面での3Pシュートは非常に盛り上がります。
しかし、勝敗が決まる大事な試合で「勢いに乗れるから、盛り上がるから」などそんな理由で3P主体のチームを作っているわけではありません。
今回は「NBAではなぜ3P主体のチームが多いのかを理論的に解説」していきたいと思います。
目次
バスケットは「確率論のスポーツ」

これはバスケットに限らず他のスポーツにも言える事ですが、試合の勝敗は主に「確率論」で決まります。
バスケットで言えばシュートは確率論です。
シュート打って100%の確率で入る人はいないですが、人によって「50%」「30%」など入る確率は違ってくると思います。
では、例えばシュート成功率が「50%」の人と「30%」の人が試合をした場合、どちらが勝つと思いますか?
シュート成功率だけで試合が決まるわけではありませんが「50%」の人の方が勝つ確率は高いと思いませんか?
また基本的にオフェンス/ディフェンス交互に行うスポーツなのでシュート回数が同じと考えると、よりシュート確率で試合が決まると言えると思います。
ではバスケットは確率論という事が認識して頂いた所で、本題の「なぜNBAで3P主体のチームが多いのか」について解説していきたいと思います。
「3Pシュート」は得点期待値が高い
先ほどはバスケットは「確率論」という話をしましたが、正確には「得点期待値」で表されます。
得点期待値とはシュート成功率からシュート1回当たりの得点を表したものです。
例えば2Pシュート成功率が50%の人と30%の人で得点期待値を計算すると、
シュート | 成功率 | 計算式 | 得点期待値 |
---|---|---|---|
2Pシュート | 50% | 2P×50% | 1.0 |
2Pシュート | 30% | 2P×30% | 0.8 |
シュート成功率50%の人はシュートを打つ事で1得点分の期待ができ、成功率30%の人は0.6得点分の期待ができるという意味です。
なので得点期待値というのは基本的にはシュート成功確率によって差が生じるので、バスケットは確率論という表現を使用しました。
しかし、バスケットの場合は「3Pシュート」があります。その為、下記の場合はどうでしょう?
シュート | 成功率 | 計算式 | 得点期待値 |
---|---|---|---|
2Pシュート | 50% | 2P×50% | 1.0 |
3Pシュート | 40% | 3P×40% | 1.2 |
このように3Pであれば成功確率が低くても「得点期待値」が高くなります。なので試合に勝つためには「得点が高く、成功率が高い」プレーを選択する事が大切です。
最も得点期待値が高いシュートは?

では、実際にNBAで最も得点期待値が高いプレーはどんなプレーなのでしょうか?
NBA全体でのシュート成功率を元に得点期待値を計算してみました。
シュート | 点数 | 成功率 | 得点期待値 |
---|---|---|---|
リング下 | 2P | 65% | 1.3 |
ミドルシュート | 2P | 40% | 0.8 |
3Pシュート | 3P | 35% | 1.05 |
フリースロー | 2P | 80% | 1.6 |
「リング下」はノーチャージマークの中、「ミドルシュート」はノーチャージマークの外から3Pラインの内側を指しています。
得点期待値で考えるシュートセレクションの優先順位は以下の通り。
- ①フリースロー
- ②リング下
- ③3Pシュート
- ④ミドルシュート
なので最も良いシュートは「リング下でシュートをしてファールをもらう」ことです。その場合、フリースローを打つ事ができるので最も得点期待値高いプレーになります。
しかし、リング下はディフェンスが密集しているのでそう簡単にはシュートは打てませんし、ファールももらえません。
その為、次に得点期待値の高い3Pシュートを選択するので現在のような3Pシュートを多投するオフェンスが採用されています。この数値からもミドルシュートを打つメリットはほとんどありません。
このように近代のバスケットではしっかりと分析し、より得点を取るにはどうするのか考えて戦術を練っています。
まとめ
『試合の勝敗は「期待値と回数」で決まる』
3Pシュートを多投するチームがなぜ多いのか理解して頂けたでしょうか?
これはNBAに限った事ではなく、中学校や高校でも意識して取り組むべき内容です。しかしながら、部活動は勝つ事だけが目的でもないので強要はしてはいけませんね。
勝利を意識するチームであれば、「チーム内で誰のどのプレーが得点期待値が最も高いのか」は把握しシュートセレクションを考えるべきだと思います。
それをポイントガードがしっかりと把握し、パスを回せるようになっただけでチーム力は向上すると思います。
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